ETソウル(111)
2010年 11月 21日
丁度、泊に来ていた友人が隣の部屋に居たので、協力してもらい襲撃者たちに話し掛けることが出来たというのだ。それで、このETたちに乱暴を働いたり、嫌がることを強要する権利が無いことを言い聞かせた。
「彼らには人間のような感情は持っていなかったが、神の掟に背いていることは知っていた」と彼女はいう。彼らの上にも神の掟が君臨していることだけは、確かに知っていたようだったとも語った。
ひとたび自分達が宇宙の法律を犯していることを指摘されたら、この悪玉のETたちは後ずさりして彼女の家を出て行った。
この経験をしてから、ジョアンはテレビや映画でETたちがどう扱われようが、余り気にすることが無くなった。
彼女が実際に経験した意図的な誘拐事件は、テレビで観るのとは異なりずっと深刻だった。
みんなが憂さ晴らしにテレビに噛り付いて見入るような、宇宙船やヘンテコな形をした頭でっかちのETが登場するような代物とは訳が違っていた。この事件を通じて、彼女には神の威光の強さが痛いほどに実感できたのだ。
さて、もう一人は波乱万丈の人生を送ったボブだ。ボブは耐え難い様々な人生の苦痛の為に麻薬に溺れる人生を過ごしていたが、ある日、突然に驚くほどの精神的体験をしたのだった。ETを扱うメディアの姿勢についての彼の意見は、まるで関係の無い、無関心の人が答えるようなものだった。
ボブの反応は寛容で超然としていて、もう飽き飽きしたという感じだった。ボブはメディアなど無視していた。
「俺はそんなことについちゃあ、あんまり言うことはないなあ。番組によって良いETに光を当てたり、悪いETに光を当てたりしているだけじゃあないかな。でも、それは誰かが主観的に感じるもの仕方ないんじゃあないか。他人が、どう感じ、どう説明しようが関係ないよ。テレビでそういう番組を観る時は、だれが主役で、どういう背景で、何故そうなっているかをよく頭に入れておいた方が良いと思うよ」
彼が言うのは、テレビで提供されている番組は何れにしても、どちらかの方向へ歪められているということだ。