ETソウル外伝(11)
2011年 01月 27日
そして社会を見下げ果てたものとして、自ら一定の距離を置いていた。彼はいつも修行僧のような食事しか摂らず、とても痩せていた。当時は何人かのガールフレンドも居たが、深い交際をすることは無かった。自身がとても混乱していたので、他の人の混乱まで背負い込むことなど考えられなかった。その当時、既に自分ではどうしようもない位に混乱していたからだ。
しかし今は大きな変化が起こっていた。彼の人生は完全に変わり、精神的なものと世俗的なものとの溝は、急速に埋まっていった。その頃スコットは理解していなかったが、彼が旅の終わりと思っていたことが、実際には始まりであったということだった。
自分の修行は自分の心の中でするものと考えたスコットは、ロードアイランドの寺院を後にしてニューヨークへ帰った。そこで、この新しい人生の生き方を探ってみようと考えのだ。ニューヨークでスコットは完璧な禅の実践をしようと考え、禅式長寿法のレストラン(いまひとつ意味不明だが、精進料理の店だろうか?)で皿洗いの職に就いた。
暫くの間は素晴らしかったが、皿を洗いながら、禅か禅じゃないか?難関を乗り越えたか越えていないかなどに関係なく、それは無意味なことに思えてきた。
彼にはまだ遣り残していることがあり、それはどうやら解脱した者の務めである事柄であると気づいた。彼は自分かかわった方向に、本当に徹しておらず、異なる種類の経験が必要であったらしい。更なる転身を遂げる時だった。
こうしてスコットはコロラドに戻ったが、もはや寺院には行かず大学を修了することに決めた。そして、ボルダーのナロパ研究所で仏教の研究をすることになった。
一人の西洋風の教育を身に付けたチベット人の尊師により始められたナパロは、アメリカでは東洋と西洋の思想を最も融合させている大学のひとつで、そこの学生たちは活発で精神世界のことをよく知っていると言われていた。
2年間の在学中に多くの友人ができたが、面白い人たちで、その中の一人は南アメリカに伝わる神秘主義への道を開いてくれた。これは極めて重要な出会いであり、スコットの人生に大きな影響を与え続けた。ラー文書の存在に気づいたのは、ナパロでの研究期間のことであったし、初めて地球外生物(ET)との鮮烈な出会いが始まったのだ。