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by levin-ae-111
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十六菊花紋の秘密(千賀一生「ガイアの法則」より)2

1・イラクへの誘い(シュメールの秘密とイラク) 
 2003年8月21日に、千賀一生は突き上げる衝動に抗し切れず、遂に思いの地に降り立った。そこは戦乱の爪あとが深く残る、破壊し尽くされたイラクの首都バグダッド。
アメリカ軍の空爆を受けたニュースを観ながら、千賀は何故かそこへ行かねば成らないという衝動に突き動かされたのだった。どういう訳か、ただイラクに行きたいと思った。
敢えて言うならば、歴史的瞬間に立ち会いたかったのかも知れない。
危険なイラクの地に行ってみよう、この決断が彼に思い掛けない人類についての情報を与えることになった。それは余りにも驚天動地の内容であるため、千賀はこの本の冒頭でまずはファンタジーとして読んで欲しい、その上で全ての判断を読者に委ねたいと記している。そして、ここで読者に問題として捉えて欲しいのは、この体験の真偽ではなく、彼が与えられ私たちの常識を覆す情報の真偽をこそ吟味して欲しいと前置きしている。

 イラク行きに当たっては、当然のこと千賀氏も迷った。空港で飛行機を待つ間、自分は何をしているのかと、何度も自問した。しかし、時間が過ぎ、飛行機の時間になり何者かに引き寄せられるようにして飛行機に乗った。
飛行機がゆっくりと誘導路から滑走路へと入り、加速して車輪が大地を離れた瞬間、彼は何故か不思議な開放感を感じた。
バクダッドやそこまでに至る道のりで、千賀はイラクの人々の悲惨な現状を嫌という程に眼にした。その光景は、どう見ても善良な人々が一部の権力者の愚考によって地獄の苦しみを味わっている様にしか見えなかった。自らが蒔いた種であるならば仕方もないだろうが、他人の蒔いた種の結果を刈り取らねば成らないこの現実とは何なのか。
そんな腑に落ちない思いと、滞在中に何かがあれば、自分も同様に犠牲者になるかも知れないという切迫した思いと、一方ではこうした光景を人類は何度も繰り返して来たのだろうという、一種の達観した様な妙な気分で町を眺めていた。

 翌日、千賀はエリドゥの遺跡へ行った。エリドゥは人類最初の文明といわれるシュメール文明の遺跡の中で最も古いといわれている遺跡である。
そこへ行ったのは、知り合ったユダヤ人に誘われたからであった。以前に海外に行った時にユダヤ人と親しくなった経験があり、何かの縁かも知れないと思い親しみを感じていた。
千賀は古代史に関心はあったものの、エリドゥへ行くためにイラクへ来たのではなかった。この遺跡への訪問は、知り合ったユダヤ人に誘われたからであり、全くのついでであった。
 誘ってくれたユダヤ人はエリドゥには既に来たことがあるから、千賀を案内して、千賀のために祈りを捧げてから帰ると言った。千賀は、その意味を彼の信仰であろうと考えたので、さして気にも留めなかった。
 遺跡の前に着くと、彼は真摯に何かを唱え始めた。その祈りは10分ほど続いたが、それが終わると彼は言葉どおりに帰って行った。
こんな危険な時期に遺跡を訪ねる人など有ろう筈もなく、荒漠とした大地の上に、一人エリドゥの神殿は立っている。
千賀は一人で、この人類文明最初の遺跡と向き合っている。神殿に向かってゆっくりと歩き始めた千賀だったが、途中でそれ以上は立ち入っては成らないという気がして、彼は立ち止まった。

 エリドゥの神殿はとても孤独に見えたが、反面でそれはまるで樹齢何百年もの巨大な樹木が醸し出すような威厳を湛えていた。この地で6000年もの昔に、人類最先端の文明が栄えていたことが幻のように感じられる。それにしても、当時この地でどのような光景が展開されていたのだろうか。そういう思いを巡らせていたせいか、その光景がドラマを見るように彼の脳裏で展開した。20分以上もそうしていただろうか、ふと気づくと現実の光景の方が幻想であるような感覚に陥った状態で、千賀は当時の光景に出会っていた。
 こうした体験はこれが初めてではなく、二十数年前のある体験以来、彼は度々に似たようなトランス的な体験をしていた。どんな世界にトリップしても、必ず現実に戻ってくるのだが、ただ今回は余りにも現実的に過ぎた。
千賀の意識は、ほぼ完全に過去に移行していた。彼の周囲に一体、何百人の人々が行き交っているのだろう。群衆のざわめきが千賀を包み、賑やか町中の雑踏に彼は居るのだ。
by levin-ae-111 | 2011-05-19 05:14 | Comments(0)