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by levin-ae-111
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高校野球

 この時期になると毎年のように思い出すのが、夏の予選大会のことである。私自身は30年以上も前に、無謀にも甲子園の全国大会出場を目指して日々の練習に汗を流していた。
二年生の時に遠征した隣県の強豪校では、その部員の数に圧倒された。こちらは全員でも20名そこそこだったが、相手は百人以上いた。
一塁側と三塁側のラインに沿って、白いユニフォーム姿の一年生が外野まで並んでいた。

試合前の練習では、通常の半分の距離から、バッティングピッチャーが全力投球してくる。
必死で打ち返した私の打球はピッチャーの足を直撃し、彼はその場にうずくまる。
それを見た向こうの監督さんが、顔を振ると、一年生が二人出てきて彼を引きずって行った。そして、直ぐに次のピッチャーが元気良く挨拶し、また全力で投げてくる。
相手レギュラー(違うかも知れない)との試合は、4-0で負けた。それでも田舎の弱小チームとしては、そこそこの出来だった。

そんな事や三年の夏、最期の試合のことなどを思い出すが、最も記憶に残っているのは夏休み中の練習だ。当時は水を飲んではならず、灼熱のグランドで側溝や水道から水をまきながら喉が渇いて内緒でチームメイトたちと泥水を飲んだ。
しかしそれが先輩に知れて、下級生全員が練習の後でしごきを受けたこと。日の長い夏に、朝から真っ暗になるまで練習したことなどだ。

 馬鹿な監督の指導方針は「こんなに練習しているから、負けるはずがない」というものだった。その監督は寺の坊さんで、いつも真っ赤な顔をしていた。俗に酒焼けというやつだ。部長先生も寺の僧侶で、正月などで学校が閉鎖の間は部長先生の寺で練習した。
練習と掃除の後で、昼食を振舞ってくださったのだが、何とそこでウイスキーが出された。
皆よく飲むので、初日はオールド、次は角、次はトリスと格落ちしていくのが面白かった。
それにしても、何という教師だと今になれば思うが、大らかな時代だった。

 さて今夜のテレビで、愛知県の強豪校どうしの親善引退試合のレポートを放送していた。強豪校でレギュラーを取れなかった三年生の引退試合だ。
彼らは最後の公式予選にさえ出られない、頑張った証の試合、そして高校野球に決別する最期の試合なのだ。
今年もそろそろ全国で予選が始まる。また多くの高校球児が涙をのむが、それでも今の高校生は恵まれている。県大会を勝ち抜けば、甲子園が待っている。私たちの頃は、県大会の後に隣県の代表との決戦を勝ち抜く必要があった。

中日でエースだった小松辰雄氏は、私と同い年だ。彼は石川県の星陵高校のエースだったが、富山の代表校の前に常に巨大な壁のように立ち塞がった。
尤も私の母校は弱小で、県大会の一回戦を勝ち抜けば良い方だったので、彼の存在は私たちとは無関係であったが(笑)
高校の時は腹筋も割れていたが、30年以上が過ぎた今、私のお腹は見る影もない。
今年も始まる予選、皆が悔いの残らないように、公式戦に出場する選手諸君には全力を尽くして欲しいと思うのみである。
by levin-ae-111 | 2012-07-06 05:38 | Comments(0)