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by levin-ae-111
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古語辞典

 昨年末に珍しく大掃除を敢行した私は、積み上げられたダンボール箱に隠されていた本棚から古い辞書を発見した。
三省堂から刊行されたもので、監修が金田一京助氏、編者代表に金田一春彦氏と記されている。緑色の装丁のその辞書は、裏紙には繊維がすきこまれている。

薄汚れていて恐らくは「新明解」「古語辞典」と金文字で印刷されていたであろう辞書名は既に輝きを失い白く文字跡が残るのみである。
驚くべきは31もの明快な口絵や写真で、平安時代の男女の装束から鎧兜、建築物の文様に家紋、江戸の地図までが載せてある。

出版の履歴を見ると昭和28年にこの辞書の基となる書物が発行されて、33年37年42年と改訂を重ね、最終的には昭和48年に「新明解・古語辞典」として刊行されていた。
これはよく売れたとみえて、私の発見したものは第11刷となっている。
歴史好きな私としては、まるで宝物を発見した様な気分になった。
鮮やかな口絵の見事さ、詳しい解説などは感激に値する。知りたかった鎧の部品の名前や、装束の呼び名、建物の造りの違い、楽器や仏像の印も調べるには骨であるが、これ一冊で簡単に判明する。
江戸時代の国名、江戸と京の地図、内裏の見取り図、家紋、牛車や馬具の細かな部品の呼び名までが事細かに示されてある。

その口絵を見るだけで、古からの文化が感じられ、嬉しくなる。しかし、よく見るとその辞書は私の家の物ではないらしい。他の人の名前がボールペンで記されているからだ。
全く知らない人の名前だが、恐らくは父親が若い頃にその人から借りたか、その人が忘れて行ったものだと推測される。
今ではゴロゴロして新聞も読まない父が、若かりし頃にはこんな辞書まで引っ張り出して何かを調べていたのかと思うと、不思議な感じがする。
by levin-ae-111 | 2013-01-12 23:33 | Comments(0)