初夢
2014年 01月 04日
何れにしても私が見た夢で覚えているのは、三日から四日の間なのでどの説にも当てはまらないのだが、昔の人が都合よく解釈している事をみれば私のこれも『初夢』と解釈しても差し障りはないだろう。
私が見た夢とは、大昔から因縁の戦いが続いている二つの種族の対立が終わる夢である。影絵のようなシルエットの人物がいる。堂々として威厳あるその男は、古来より種族に伝わる秘伝が記された古書を破いている。
それは大切に受け継がれてきた秘伝の書だが、男にはもうそれが不要だと分かっていた。
この書が種族の対立の元凶であったが、敵対する種族とは元々同じ種族であった事を男は悟ったからだ。
その頃、敵対する種族は大挙して男の種族の村を襲いつつあった。
しかし敵対する種族の長もまた、薄々は自分たちと敵が同じ種族であったのでは?と気づいている。彼は敵の長の家へ攻め入り、その長の喉元に刀を突きつけていた。
その敵の長とは古書を破いていたあの男で、既に闘う意志はなく「私達は同じ種族だ」と高らかに叫んでいたところだった。
そこへ敵が攻め込んで来たので、彼はあっさり喉元に刀を突きつけられる事になったのだ。
だが敵の長もその宣言を聞いていた。彼は自分の内心と同じ敵の叫びに、刀を下ろし二つの種族の間に平和が訪れるという内容の夢だった。
この夢を私はこう解釈した。敵対する二つの種族は国津神と天津神であり、両者の和解の場面ではないのかと。それとも単なる野蛮な時代に生きていた私自身の魂の記憶の断片が、何かの拍子に浮かび上がったのだろうか。
夢で意識の主体は古書を破り捨てた男にあったが、幾つかの扉をけ破って警戒しながら敵の住居に侵入する男の視点も分かった。
背後に回り男の喉元に刀を突きつける場面では、その全体像が見えた。しかし珍しくこの夢の人物たちは終始、シルエットでしかなかった。
夢とは元来不思議なものだろうが、これが私の今年に入ってから初めて意識した夢だった。