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by levin-ae-111
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悲劇の特攻ロケット

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 先日『ハヤブサⅡ』を載せたロケット発射が見事に成功し、ニュースなどで話題に成った。
アメリカでは次期宇宙探査ロケットの試験機が打ち上げに成功し、これもまたニュースとして報道された。
何れも宇宙開発の著しい進歩を示す出来事として話題なのだが、宇宙開発にも他の科学技術開発と同様に暗黒の部分が存在する。例えばレーガン米大統領が提唱したSDIなる宇宙戦略構想が有名だった。これは衛星で敵の衛星を破壊する、または大陸間弾道弾を宇宙で撃墜するという構想だった。
冷戦の時代には米ソが競って宇宙開発を行ったが、これの本当の動機は宇宙空間でも戦略的に相手よりも優位に立ちたいという野望である。ソ連による初の有人宇宙飛行やアメリカによる一連の月着陸も、本当は宇宙を一方的に支配したいという思惑がが有った。

 実用的なロケットとして最初に登場したのは、恐らくナチスドイツのV号ロケットであろう。これは無論、破壊兵器である。現代の大陸間弾道弾の元祖とされる。
ナチスのV号ロケットシリーズは、ロンドンなどに撃ち込まれ、市民を恐怖に陥れた。他にも世界発のロケット戦闘機『コメート』は来襲する連合国の爆撃機を迎撃した。
さて日本では、このコメートの設計図を入手し『秋水』という同様の迎撃機の開発が行われていた。
他にも飛行機から投下する誘導弾が開発されていたが、日本でも陸軍が開発に当たっていたという。しかし我が国で実際に実戦参加したロケットは、悲劇の人間ロケット『桜花』であった。

『桜花』は無人誘導弾では命中が覚束かない、これを確実にする為には人間が操縦するしかない、という発想で開発された特攻専用のロケット機だった。
『桜花』は母機に吊るされて運ばれ空中でリリースされると、ロケットに点火して敵艦に突入するというものだった。その機体重量の60パーセント近くが炸薬(爆弾)で、駆逐艦などは一撃で轟沈(瞬く間に沈むこと)させることが可能だった。
特攻専用機『桜花』の搭乗員は絶対に生還を望めないが、母機は理論的には生還の望みがあったが現実にはそうではなかった。

 『桜花』を積む母機は『一式陸上攻撃機』が選ばれ、この組み合わせで10回の攻撃が成されている。『一式陸上攻撃機』は乗員7名の爆撃機だったが、攻撃に出た多くが『桜花』もろとも撃墜され帰らなかった。
積載重量を越えた『桜花』の重さが、ただでさえ速度が遅く機動の悪い爆撃機を更に鈍重な飛行機にしてしまった。更には十分な護衛戦闘機を付けられなかったことも犠牲が多い原因のひとつだった。

神雷部隊は中野少佐に率いられた一式陸上攻撃機の部隊だが、中野少佐たちはこの攻撃に反対だった。『桜花』を切り離して帰って来るなど、彼らの感情が許さなかった。
それからレーダーで捕捉され早くから戦闘機に襲われ、その戦闘機を突破しても二重三重の護衛艦の砲火に晒され『桜花』をリリースできる空域に辿り着くことは困難だと知っていた。現場の人々は官僚的な連中が考える作戦など、机上の空論だと承知していた。
それでも命令は下され、神雷部隊は出撃した。

結果『桜花』により沈められた敵は僅か駆逐艦1隻に留まり、桜花搭乗員55名と母機搭乗員350名以上が戦死した。
こうした暗いロケットの歴史の後に、糸川博士がペンシルロケットを開発し、現在の日本のロケット技術が始まったのである。ハヤブサは第二次大戦で活躍した陸軍戦闘機、そのハヤブサが目指したイトカワは、開発者の博士の名前である。
つまり前回の小惑星探査は、正に戦中戦後のロケット開発を象徴するような出来事だった。
我が国は宇宙開発を平和利用に限っているが、他国はそうではない。中国は宇宙も含めた空軍力の強化を画策しているし、今も多くの軍事衛星が地球の軌道上を周回し続けている。

私はハヤブサⅡの打ち上げに熱狂する人々を観て、ロケット開発の裏にある各国のドロドロした思惑や、暗い歴史も認識して欲しいものだと思う。
ナチスドイツの開発したV号ロケットシリーズは、現代でもICBMや巡航ミサイルなど核弾頭搭載のミサイルと成って生きている。
一方で衛星や宇宙探査にも利用されている。ロケット技術を破壊と平和、どちらに利用するかは人間の考え次第だが、少なくともロケット技術や核技術は両刃の剣であることを知っていて欲しい。
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by levin-ae-111 | 2014-12-07 12:45 | Comments(0)