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地名の由来(リメイク)


現在は町村合併で市となってしまったが、その以前に私が住んでいる地域は郡だった。その郡名は『婦負』郡であった(読者の皆様はこれを読めるでしょうか?)。
正解はネイである。この意味は婦人が負けるのではなく、婦人を背負うという神話時代の古事に由来する地名である。
 江戸時代に富山藩士が著した書籍によれば、地名の由来となった古事は大和王権が確立する以前に遡るのである。尤もそれとは別に代10代崇神天皇即位十年に、大彦命が命を受けてこの地に留まり農耕の指導をした。その時に病没する者が多く、杉の巨木を神とあがめて様々に供養したところ災いが去ったので、この地に神社を建立したというものだ。 また別の古伝では文武天皇大宝二年(702年)6月の創建と伝わる。

 私としては神社に伝わる縁起よりも、風土記として伝わる神話的伝説の方を支持したい気持ちである。神社は杉原神社と号してあるが、隣町にも同名の神社が二社存在する。この縁起からは自社こそは本家本元という主張は汲み取れても、私が旨とするご先祖様たちの偉業も私達との繋がりも感じられない。現に訪れた神社では、社殿が造り直されて新しいこともあるだろうが、神社の縁起は啓示されておらず寄付した人々の名前ばかりが目立っていた。
そこには神となられた祖先への尊敬の念が感じられないし、精神性のカケラも存在していない気がする。尤もこれは私見であり、常日頃から関わって生活の一部となってしまえばそうとばかりは言っていられないのも事実であろう。

 さて肝心の風土記として伝わる神話的伝説であるが、この伝承こそが地名の由来とダイレクトに繋がるのである。その昔、人々は川沿いの平地には住めず、山腹の僅かな土地にへばり付くようにして肩を寄せ合って暮らしていた。川沿いの平地は肥沃ではあるが、時折発生する鉄砲水が人々をその土地に寄せ付けなかったからだ。
 その集落のシャーマンは若い女性 (咲田姫)で、彼女は日々危険な平地に下りてパトロールをしていた。
ある日の見回りの時、密林の奥から木を切る音がします。行ってみると一人の青年(杉原彦)が樹木を伐採し、土地を切り開こうとしていた。
危険だから立ち去るようにと警告する咲田姫に、杉原彦は農耕の話をする。
農耕で生活が安定すること、今までより豊かな食生活が行なえ、集落の人口も増えて、より繁栄することなどを杉原彦は咲田姫に話して聞かせた。
それまで農耕を知らなかった咲田姫は杉原彦の話に感動し、いつしか作業を手伝うようになり、二人で開墾を始める。初めは否定的だった集落の人々も次第に加わり、少しずつ危険で忌むべき場所だった平地は農地へと変わっていったのだ。

開墾もようやく軌道に乗り、これからという時に連日の降雨で川が氾濫した。咲田姫と杉原彦は数十日も耕地を守るために戦い続けた。
ようやく雨も止み、半分以上もの耕地を失いながらも何とか全滅は免れた。その時だった、疲労と安心感から咲田姫は倒れてしまう。
杉原彦は彼女を背負い家に向かうのだが、結局咲田姫は帰らぬ人となった。
この逸話から「婦人を背負う」=「婦負(ネイ)」の郡名が冠せられたのである。
この逸話の二人は現在も神様としてお祭りされている。
この神話的伝説は、男女の神様が力を合わせて人々のために頑張った男女和合の素晴らしいエピソードである。 伝説の杉原彦と咲田姫の二人は、杉原神社に静かに鎮座している。
 
私の在住する場所は富山市の南方、川沿いの扇状地に広がる山間部の町である。
現在でこそ治水が成され、川沿いの平地にも町屋が甍(いらか)を連ねているが、治水に努力したご先祖神の奮闘と苦労に思いを馳せると、ジーンと熱いものがこみ上げてくる。
このように地名の由来を調べていくと、思いがけない伝承に出会える。
私の住む町は世界遺産『五箇山』や『白川郷』に比較的近く、車で日帰りが出来る距離にある。これらの世界遺産の地もまた、独特の歴史が刻まれている。
『五箇山』は平家落人伝説の地であり、『白川郷』にも戦国武将の歴史がある。
山間の僅かな土地に住む人々の歴史は光こそ当たらないが、歴史に興味ある者にとって新鮮な驚きと親近感を味わえて興味が尽きない。
 戦国武将ブームであるが、全国区の有名武将だけでなく地元の名も無き武将達の痕跡をたどるのも一興だし、地元の神話を紐解くのもまた良いものだ。a0160407_5293449.jpg 
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by levin-ae-111 | 2011-10-11 05:32 | Comments(0)