ETソウル(79)
2010年 10月 20日
しかもジュリーには、この幻影を検証する時間が十分にあった。それというのも、その幻影は2年近くにも渡り、同じ場所に立ち続けていたからだ。
彼女は幼い子供が新しい玩具を与えられたように、毎日、仕事場から飛んで帰りその幻影を見詰めていた。幻影は夜には白くなり、昼間は青く輝いていた。時には幻影を横切るように、出入り口の壁の上に小さな虹色の光も現れていた。虹は曇りの日にも映っていた。
不思議なことに、アシュタールの姿は他の人には見えないが、この虹は誰にでも見えた。
ジュリーの前にアシュタールが現れてから、二日後には第二の訪問者が現れた。
その晩、彼女の家の広間には、眩しい黄金の光が差し込んでいた。彼女はそれをベッドの上から見ていた。次第に黄金の光に満たされていく広間に、出現したのは何とイエス・キリストだった。
「間違いなくイエス・キリストがそこに立っていた。イエスは光線を私に注ぎはじめ、最初それは一つだったが、それから二つの光線になった。自分の人生で全てが愛という深い感じに包まれたのは、この時だけ」と、ジュリーは説明した。それから何が起きたのか、覚えていないという、明らかに彼女は意識を失ったのだ。
翌日、気が付いた時には、もうそこにイエスの姿はなく、脇柱の隅にまだ小さな黄金の輝きが残っていた。
ところで、この様な現象が銀行家をヘットハンティングするという余り芳しくない仕事をしている女性の身に起こったことを思い出して欲しい。
ジュリーは、この体験を忘れられなかった。そして、この幻影から逃れようとして彼女は社会のエリートコースから逸脱してしまったのだった。
ジュリーは自分の見たものを忘れようとし、自分が感じたものを否定し、もっとよく考えることも諦めかけていた。
ジュリーはロサアンゼルスのボディー・ツリー(菩提樹)書店へと足を運んだ。そこは自分自身を見詰める人たちの心の窓を開く場所だった。
アメリカでも最も有名な書店のひとつで、アシュタールから禅までと、広大な領域を網羅する膨大な数の書籍が並んでいる。
ジュリーは本棚の間をさまようようにして、タロットや水晶、易など占いの本を見て回った。その時、彼女は一冊の本に妙に引き寄せられるのを感じ、すぐさま購入して向かいのレストランの座席で読み始めた。その本はアシュタール司令部について書かれていた。
読み始めた彼女は、涙が出るのを抑え切れなかった。
ジュリーは言う「私はヒステリーのようになっていた。私は読み続けて、どんどんその本にのめり込んで行った。考えられないことだった、私は心を揺さぶられた。それこそ、私が今までの人生で追い求めていたものだった」その時、彼女の圧殺していた悩みが、いっぺんに解決したのだった。
書物や人や環境全ての出会いに意味があると言うより決まっている…という感覚を受けます。