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ピストル郵便配達人(タイムスクープハンターより)

皆さんは、明治時代の初期に始まった郵便制度のもとで、配達人が郵便物を守るために武装していたという事実をご存知だったろうか。私はこの番組で、初めて知った。
時代が江戸から明治に移り、そりまでの飛脚に変り郵便制度が発足した。この郵便物の中には金子も含まれており、それを狙って郵便配達の脚夫を狙う強盗が多発した。
しかし、現実に郵便配達人が金子を運んではおらず、受け付けは郵便局でするが、実際に運ぶのは他の業者であった。それを多くの人々は知らず、郵便配達が狙われたという事のようだ。
 さて例によって記者の沢島(要潤さん)がワープアウトしたのは、1875年の伊豆地方の小さな町韮山であった。今回の目的は郵便制度のレポートである。
時は明治8年、韮山の山中に銃声が響いている。郵便と書かれた半纏(はんてん)を着た幾人かが、射撃訓練を行っているのだ。この中の一人に百姓あがりの若者、阿部正太郎がいた。
正太郎は維新の際にも戦乱とは無縁で過ごし、平和な世の中になって銃を携行するとは思いもしなかったと言う。この時代には実際に郵便物を守って落命した郵便脚夫もいたのである。
ピストルは『郵便物保護銃』と呼ばれ、厳重な管理の下で使用されていた。正太郎たちの局でも、銃は厳重に金庫に保管されていた。毎朝、金庫から銃を取り出し、弾丸の数その他を厳重にチエックして配達人に渡される。

 沢嶋は今回、正太郎に密着する。その他に若い女性きよさんが、婚約者に宛てた手紙にもマイクロカメラを仕込んだ。この日も何時もの様に元気に次の中継局へと歩き出す正太郎の姿があった。
だが途中で道端に倒れている病人を発見した。すぐに駆け寄り具合を確かめようとすると、病人の男は郵便物を奪おうとする。抵抗する正太郎ともみ合う内に、賊の男は彼の懐から拳銃を掠め盗る。正太郎の必死の追跡も虚しく、男は山中の雑木林に消えてしまう。
山狩りが実施されたが賊は見つからず、落胆する正太郎。一人で再び山へ捜索に入った時に犯人逮捕の朗報がもたらされた。
しかし犯人は銃を持っていなかった。本の中をくり貫いてそれに隠して、東京の士族へ送ったという。
この時代、貴族は華族となり、武士は士族となりその他の身分は平民となっていた。華族や平民は以前と大差ないが、士族は大幅に特権を失って新政府への不満を持つ連中が多かったという。

 責任を感じた正太郎は、既に東京へ向けて出発している郵便配達人を追うことにした。この時代では伊豆から東京へ郵便物が届くのに3日を要した。それでも、既にかなりの時間が経過してしまっている。正太郎は中継局のある三島へ向って走りだす。彼は遅れを取り戻すべく近道をする為に道無き道を急いで歩き続けた。三島局には着いたものの、既に次の中継地へと出発した後であった。この時代、箱根までは脚夫と呼ばれる配達人が郵便を運ぶが、箱根から神奈川までは馬車になり、神奈川東京間は汽車による運搬となっていた。つまり、銃が仕込まれた書籍が箱根に着く前に止めなれば、追いついて銃を取り戻すことはほぼ絶望という事になる。正太郎は必死で走り、近道を繰り返して遂にこの箱根行きの郵便脚夫たちに追いついた。ようやく追いついて安堵した正太郎だったが、彼の試練はまだまだ続く。
 郵便脚夫の半纏を途中でなくした正太郎を、彼らは仲間だとは信じてくれない。強引に郡を奪い開けようとする正太郎。そして、事もあろうに郵便物保護銃が正太郎に向けられることになる。正太郎は発砲され、負傷しながら逃げるしかなかった。
脚を弾丸がかすめ出血している、疲労困ぱいの正太郎は河原にへたり込む。だが、諦めない。
郵便物が東京に着くのは夜だ、そして夜中には配達しないであろうから、明日の朝までに東京の本局へ着けば配達を止められるという微かな希望があったからだ。
通り掛かった人力車を拾い、東京へ無事に到着する。しかし、荷物は配達されてしまっていた。
ここで正太郎は配達差し止めをすれば良かったと言われ、合点がいかない。その故は、当時すでに電信が長崎東京間で敷設されていたので、それで連絡すれば済んだということである。慌てていた正太郎も周囲の者も、それに気が廻らなかったのだ。
東京の局員に協力してもらい、配達先へと向う。郵便物の受取人は眼鏡を掛けて、背が高い細身の男、小山田だった。彼は士族で、銃を入手して一種のテロを計画していたらしい。

 勤め先の旅館へ乗り込んだ正太郎たちは、ひそかに中を覗う。配達した脚夫の証言にぴったりの男が大広間を掃除している。二人は不意を付いて襲いかかり、その男をねじ伏せる。だが、それは違う人物だった。困惑する二人と旅館の人々、そこへ銃を構えた男が現れて発砲し、逃走を図る。男は、追い詰められた小山田だった。
危険も顧みず後を追う正太郎。
路地で正太郎は銃を向けられながら、必死の説得を試みる。その隙に背後から廻り込んだもう一人が男に跳び掛かり、正太郎がすかさず銃を取り上げた。
こうして、韮山の郵便脚夫、阿部正太郎の災難は終わった。本来なら郵便物保護銃に関して紛失などの不祥事には厳しい罰則が設けられている。しかし正太郎の必死の努力が認められ、罰則は適用されずに済んだ。
 
ところで、きよさんの手紙は無事に婚約者の許へ届けられた。手紙を嬉しそうに開封する青年。封筒から出して広げると、一葉のもみじの押し花がヒラリと落ちた。彼はそれを拾い上げて微笑み、愛する女性からの手紙を読み始めたのであった。
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by levin-ae-111 | 2011-09-20 05:42 | Comments(0)