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by levin-ae-111
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米本土を爆撃せよ

 アメリカの超重爆撃機B-29を凌ぐ大型機で、アメリカ本土爆撃を目指す計画があった。
その計画とはZ飛行機または富嶽(ふがく)と呼ばれる爆撃機を開発し、アメリカ本土を爆撃するという途方もないものだった。
発端は中島飛行機の中島知久平氏が提唱した計画で、ミッドウェー海戦で大敗した日本を憂慮して立案したものだったとされる。

その計画とは巨大な爆撃機を製作し、アメリカ本土を直接爆撃するというものであった。
中島は計画の要になる飛行機を「Z飛行機」と名付け、自ら開発チームを組織して「Z飛行機」の開発に着手した。
Z飛行機は①爆撃機②掃討機③輸送機の三種が計画された。爆撃機は20tの爆弾を搭載し、高度1万メートル以上を飛行し、アメリカ本土を爆撃する。
掃討機は96丁の20mm機関砲を装備し、爆撃機の護衛や地上への銃撃を担当する。輸送機は降下兵200名を乗せて、敵地まで運ぶ。

 この計画は最初に爆撃機を完成させ、それを改造して掃討機や輸送機へと改良するというものであった。Z飛行機は通常のエンジン(空冷星型)を2基縦に繋いだ、空冷四重星型36気筒エンジンを6基装備し、爆弾を10t搭載する巨大な飛行機として設計が進められていた。
Z飛行機のエンジンは5000馬力の出力を搾り出す設計だったが、無論、夢のままで終わっている。当時も当然ながら不可能だとして陸海軍は取り合わなかったが、政界を味方につけた中島の訴えにより昭和18年、海軍はZ飛行機の開発を認可した。

 だが元々の計画は余りに夢物語の要素が強く、実現可能な計画として陸海軍の要求を加味して実現可能な計画へと修正が成された。それが「富嶽」であり、富嶽=Z飛行機という訳ではなかった。
しかし昭和19年以降の戦局は、戦争に間に合わない機体の開を許す筈もなく、4月に入り正式に富嶽の開発は中止され完全に計画は頓挫した。
 
だが実際に日本機がアメリカ本土を爆撃した例がある。1942年9月9日と29日に母艦を発進した零式小型水上機が、オレゴン州の山林を爆撃している。目的は森林火災を起こすことで、焼夷弾を投下している。この時の母艦はイ-25潜水艦である。
後にも先にも日本機がアメリカ本土を爆撃したのはこの時だけだ。よく架空戦記でスエズ運河やパナマ運河を潜水艦搭載の飛行機で爆撃するストーリーがあるが、実際に行われたならばオレゴン州の森林を爆撃するのとは違い、より大きな効果が期待できたかも知れない。現実に盛んに行われたのは、気球に爆弾を付けて放つ「風船爆弾」の方で、これは幾つかアメリカ本土へ到達しているが被害は無かったようだ。
by levin-ae-111 | 2012-10-12 05:39 | Comments(0)