映画『Music of the Heart』
2013年 03月 29日
幼い頃からバイオリンを学び、プロの奏者を目指したロベルタだったが結婚生活に苦しんでいた。
海軍士官の夫は転勤が多く、子育てと引越しの連続で奏者としてのデビューは叶わなかった。ロベルタは教師免許を取得し、バイオリンの教室を始めるが上手く行かない。夫は浮気をして家にも帰らない。
友人に紹介されたイースト・ハーレムで公立小学校の面接を受ける。一旦は不採用となったが、必死の嘆願の甲斐あって遂に試しに教える事になった。
ロベルタは「どんな子でも必ずバイオリンを弾けるようになる」と豪語し、臨時職員として採用された。
夫との離婚、子育てそして、学校ではハーレム育ちの子供たちとの格闘、恋人との別離と山あり谷ありの苦難を越えて行く。学校では子供たちの発表会を成功させ、ハーレムに来た白人という周囲の偏見や反発を乗り越えて行く。
そして10年の歳月が流れ、既にロベルタのバイオリンクラスは、受講希望者が殺到するまでになっていた。
ところが、そんな折に予算削減でロベルタのバイオリンクラスは廃止と決定が下った。親を始め周囲の大人たちは立ち上がるが、これといった策はない。
ロベルタのクラスを取材して以来、友人となった雑誌記者は夫がバイオリン奏者だった。
彼女は夫を通じて有名なバイオリン奏者を集め、教室継続の為のチャリティコンサートを計画する。無論、主役はロベルタの教え子たちだ。
ロベルタの初めての教え子たちも駆けつけて、子供たちと一流のプロ奏者たちとの競演が決まった。しかし事故で公演を予定していたホールは使えず、一流の奏者たちのスケジュールも予定日以外は埋まってしまっている。
コンサートは中止か?しかし、またまた奇蹟が起こる。ある日、雑誌記者の友人が満面の笑みでロベルタの自宅へ走りこむ。
カーネギーホールでの演奏が決まったというのだ。カーネギーホールはプロの奏者を目指していたロベルタにとっても夢の舞台だった。
緊張の中、始まったコンサートは、上手く行き・・・とハッピーエンドのストーリーだ。
ありふれたストーリーであるが、ハーレムの子供たちの何人かは成長してもバイオリンを続けている。バイオリンは止めても、大学へ進学し優秀な成績を修めている。
さり気なく、そういう子供たちの後の姿がちらっと、風聞程度に挿入されている。希望の少ないハーレムの子供たちが、バイオリン演奏を通じて情操教育を施された結果である。
この映画の素晴しさは、そういう所にあるのだ。単に子供たちと女教師のサクセスストーリーではなく、誰からも可能性を信じられなかった子供たちが、バイオリン演奏を学び大きく可能性を広げるそれが良い。
後の子供たちの人生は映画の中で明確に描かれはしないが、その気配を十分に感じさせられる事だ。そういう余韻を、明るい希望の気配を感じさせられる映画だった。
この映画で演奏されていた曲(メヌエット/第1番)、
私の最初のバイオリン発表会で弾いた曲目です。
http://tukasagumi.exblog.jp/2450875/
アイザックスターンも出演し一緒に生徒等と
演奏しています。
バイオリンを始めた頃を思い出させてくれた
今回のエントリーでした。