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身の回りの出来事から、精神世界まで、何でもありのブログです。


by levin-ae-111
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フィッシュストーリー(2)


 正義の味方に成ることが人生の目標だと語るコックの青年は、小さい頃から格闘技やウエートトレーニング、そして座禅を繰り返し修業してきた。友達と遊ぶこともなく、ひたすら修業を続けて来た。しかし青年は「大昔から悪は絶えず、正義が勝ったことはない」と人間社会の現実もちゃんと認識している。

話しの途中で女子高生の後ろの席の老夫妻がデザートを注文し、青年は調理場へと去って行く。そして、突然のシージャック発生!

犯人は銃で武装し、乗客たちを客席の一角に集め「この船はノアの箱舟になる」と宣言する。

人類滅亡が迫っていると信じて止まない、狂信的な連中が愚行に出たのである。

そこへ注文を受けたデザートを持って来た青年は、突きつけられた銃にも臆せず一瞬にして相手を倒す。幾人ものテロリストが彼に襲い掛かるが、彼は身をかわし相手の腕を捻り、投げ飛ばし、蹴りを入れ、正拳突きや肘打ち、裏拳などの技を自在に駆使して敵を一掃してしまう。正に正義の味方だ。

しかし最後の相手をKOして、床に落ちた銃を拾うと青年はあろうことか女子高生に銃を向ける。驚きおびえる女子高生。

だが青年が銃を向けた本当の相手は、女子高生の後ろの席に乗客の振りをして潜み、まだ残っていたテロリストだった。

睨み合う暇もなく青年は撃たれ、テロリストに縛り上げられてしまう。再び大ピンチの乗客乗員たちだったが、正義の味方は関節を外し縄を抜けると、デッキに居るテロリストたちに立ち向かうのだったが・・・。



パンクロックが流行るずっと以前に、売れないアマグループの『セックスピストルズ』はホテルのステージで心無い野次を飛ばす客と大乱闘を演じるという事件を起こした。

ピストルズの音楽は新し過ぎて、誰にも理解されなかったからだ。しかし、それがきっかでプロデビューの道が開け、1975年にプロデビューを果たした。

だが・・・全く売れず、4枚目のアルバムが最後になった。それが『FISHSTORY』『逆鱗』だった。その歌詞が奮っている「僕の孤独が魚だったら・・・・巨大さと獰猛さにくじらでさえ逃げ出す・・・・」

どうして魚なのか・・・・意味はない。そこから暫くは『セックスピストルズ』の苦悩が描かれる。その歌詞のヒントに成ったのは、次が最後のアルバムに成ると告げに来た彼らをデビューに導いた人物が持って来た一冊の本(フイッシュストーリー)だった。

録音の現場でプロデューサーと意見が合わず揉めた末に、一発録音という条件でメンバーの希望が入れられた。

録音が始まると間奏の間に、ボーカルが「この曲は、誰かに届くのかよ。本当に届くのかよ、教えてくれよ!」と叫んでしまう。それでも曲の再録は行わず、ボーカルの叫ぶ様な問い掛けの部分は無音にされて発売された。それが元でその無音部分には、女の悲鳴が入っていて、聞こえる者には聞こえるのだとマニアの間で都市伝説を生むことになる。

アルバムの『FISHSTORY』は、録音の後でタイトル曲の名としてメンバーが決めた。

しかしヒントとなった本は世界に一冊しか無かった。戦後の混乱の中、英語の訳者に困った出版社は一人のハーフの男を雇った。

しかし雇われた男は生粋の江戸っ子で、ハーフっぽい顔立ちをしてはいたが、実は英語など皆目わからなかった。しかし、生活の為に男はハーフの振りをして翻訳を引き受けた。

当然、訳は滅茶苦茶で、信用して出版した本は回収の憂き目に遭った。そういう曰くつきの本だった。



2012
年、迫りくる彗星の衝突により100メートルの津波かぜ予想されていた。逃げ出した人々も、結局は津波を逃れても気候変動などで生き残れないのだ。

アメリカが打ち上げたロケットも爆発し、彗星に仕掛けた核爆弾も機動させられない。もう絶望だったが、「10年も前に予測していた」と豪語する車椅子の男は、ノストラダムスの予言した1999年に人々を煽っていたが、予言は外れて信用を失い部下にも裏切られた。

今は癌が全身に転移し、死を待つばかりの身の上だったが、2012年人類滅亡説を早くから唱えていて、予言の成就を目前にして密かにほくそ笑んでいた。

その男の当時の部下たちが勝手に2009年の週末説を唱え、シージャックを起こしたのだ。



それでも絶望の中に奇跡の起こる余地は、まだ残っていた。
5
人の正義の味方が地球を救うという、希望的観測の予言か噂かが存在してた。

そこへ意外にもインドが宇宙船を彗星に向けて送ったというニュースが報じられた。しかも乗員は世界から集まった5人の超天才、だが全員が宇宙飛行未経験。

ミサイルを彗星の核爆弾に命中させれば、彗星は破壊されるはずだ。しかしミサイルが命中する確率は、0.000?%、今の預金利息率よりも低いのだった。でも、ミサイルは命中した。

彗星は寸でのところで爆発して四散し、人類は救われた。目出度し、めでたし。

超難題のミサイル軌道の計算をしたのは、日本人の女性だったが、彼女は女子高生の時にシージャックに遭って正義の味方に助けられた経験があった。

意気地なしの学生はセックスピストルズの『FISHSTORY』に影響されて勇気を振り絞り、暴行を受けている女性を救った。それが縁で、その女性と結婚して男の子が生まれた。

夫妻は男の子を『正義の味方』に成る様に育てた。

正義の味方に育った青年は、銃で撃たれて負傷しながらも、結局はシージャック犯を全員KOして船を救ったのだった。



ああっ、何という柔軟な発想のストーリーだろうか。一見して無関係な出来事を時系列も無茶苦茶に羅列しておきながら、結局は一人の頭脳明晰な女性に集約させてしまうとは。

馬鹿馬鹿しくも、その発想の面白さに思わず拍手してしまう映画だった。ネタバレしていても面白い、一見の価値があると思う。

終わり


by levin-ae-111 | 2014-06-17 21:56 | Comments(0)