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by levin-ae-111
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『蝉しぐれ』を観た


 藤沢周平氏の小説を映画化した作品だった。何処かの山里に住む役人の子供たちの物語だ。山里を見回る役人の子、文四郎と福、それから文四郎の友人たちの成長を追った作品だったが、長ずるにしたがって子供たちは辛い人生の出来事に直面していく。

元服前で思春期の文四郎と福は同役の役人の子で、隣同士の幼馴染だった。

二人は川でよく会う。ある朝、服が洗濯中に蛇に噛まれてしまう。近くで顔を洗っていた文四郎はすぐさま傷口から毒を吸い出して福を助ける。

二人の家は貧しく文四郎の父親は(かみしも)しくしたいとってもあっさりたしなめられてしまう。

福の家も隣に米や味噌を借りる始末で、武士とは名ばかりの軽輩の家柄だった。

それでも文四郎は町の道場に通い、剣術の腕を上げていき仲の良い二人の親友(与之助、一平)もおり、それなりに楽しい子供時代を過ごした。夏祭りには福と一緒に出掛けたりした。

最初の苦難は父親が藩内の勢力争いに巻き込まれ、負けた側に属していたために死罪と成ったことだった。たった一人で父親の亡骸を荷車で家へ運ぶ文四郎だったが、急な峠道をどうしても登れない。そこへ福が駆けつけて、二人で峠をこえるのだった。

藩の処分で文四郎たちは山村の官舎を追われ、市中の長屋暮らしになってしまう。ある時、福が長屋を訪ねて来るが文四郎は不在だった。それが文四郎と福の子供時代の最後の別れとなった。福が江戸屋敷へ奉公に出されたからだった。

月日は流れ・・・・福は江戸屋敷で藩公に見初められ、側室となった。文四郎は元服し軽輩ながら父の跡を継いでいる。そんな折、文四郎の上役が斬殺された。城下では似た様な暗殺事件が増えていた。その背景には藩の世継ぎ問題が存在していた。

藩公の子を産んだ福は刺客から逃れて警護の者と山村の別荘へと逃れて来た。その頃、文四郎は上司に呼び出され、福の子を誘拐するように命じられる。

淡い恋心を抱いていた文四郎と福だったが、またしても藩の重役たちの勢力争いに翻弄されることとなる。

文四郎は一計を案じ、親友たちに事情を話す。与之助は腕っぷしは弱いが、頭が良く今では藩校の助教となり、一平も身を固めて家を継いでいる。

二人は協力すると申し出るが文四郎はそれを断り、一人で計画を実行しようとする。計画とは反対勢力の家老の家へ引き渡し、福と子供を保護してもらうというものだ。

文四郎が福たちの許へ出立しようとした時、一平と与之助が現れて同行するときかない。

与之助を押しとどめた文四郎と一平は警戒する福たちの屋敷へ赴き、福と子供を脱出させる。押しかける敵方の勢力が屋敷を取り巻く中、文四郎と一平は奮戦する。手傷を負いながらも敵方の侍を撃退した二人だったが、福たちを城下へ送り届ける道は無い。

隠れ家を提供した庄屋の機転で、船を使うことにした。発見される危機の時、警備の侍たちの注意を引いて助けてくれたのは与之助だった。無事に城下へ入った二人は家老の役宅前で抱き合う。子供の頃のように文四郎の着物の袖をそっと掴む仕草に、福の文四郎への気持ちが籠められていた。

暫くの後、傷を癒した文四郎は相手方の家老の家に乗り込む。「裏切り者」と罵る家老に抜刀して心の内を吐き出す。「私利私欲のために大勢の人が死にましたぞ」「死ぬる者の気持ちとは!!」と繰り返し、狼狽する家老の文机の脚を切り倒す。「ひっ」と縮こまる家老に「その気持ちとは斯様なものです」と告げ、礼をして去った。

そしてまた月日は流れ、福の子は然るべき家へ養子に出され、福は尼寺へ行くことになった。

全てが一段落し静かに幼い頃の思い出に浸る二人。だが淡い恋心を互いに抱いていた頃とは立場が違う。文四郎は妻帯し子供も居る。最後は尼寺へ向かう福を路傍で見送る切ない場面で物語は終わっている。


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登場人物の名は表記されなかったので、漢字は当て字です。


by levin-ae-111 | 2019-01-06 11:41 | 日々の出来事 | Comments(0)